編 集 後 記


四月にはだいぶ寒さも遠のいて、天候は周期的に変化するが、日差しは眩しくカキの若葉が新緑の季節の訪れを告げていた。街で見かける花たちも、ツツジ、サツキ、シャクナゲ、アヤメの仲間と初夏の彩りへと移っている。下旬になるとミカンの花も咲き始め、梅の実も大きくなって、雨の季節の近いことを知らせてくれている。五月になって端午の節句の日が「立夏」であった。

 


新型コロナウィルスの蔓延は止まらず、引き続き外出自粛要請も出されていて、星空を見に蓼科へも出掛けることが出来ず自宅で過ごしている。リタイアしている事もあり日々の生活には変化がないが、感染しないようになるべく外出は控えることにしている。

 

火星は四月には、「やぎ座」を通過して、五月には視直径も八秒角を越えて「みずがめ座」で順行を続ける。「いて座」の端にいる土星・木星とはだいぶ離れてしまった。眼視観測を始める時期になっているが、火星の昇る時間は少し早くなっても夜明けも早く、観測時間はなかなか延びない。

四月下旬から、南先生の遺品の中にあった、惑星撮影用のCMOSカメラを譲っていただいて、火星の撮影を試している。カメラは新しいもので、足羽山での使用を目指していたものと思われる。今回添付の画像は、自宅の10cm屈折での撮影で、詳細は捉えられないが、南極冠と暗色模様の分布は判る画像が得られた。今後も機会があれば撮影を続けようと考えている。

五月10日記

 

火星課長 村上昌己 


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